佐賀大学・学習院大学合同トポロジーセミナー (Saga-Gakushuin Topology Seminar)

年に何回か行いたいと思います。

講演を希望される方は中村伊南沙までご連絡ください。
(※※名称:佐賀大学・学習院大学合同トポロジーセミナー:2023.4.〜)
金沢大学・学習院大学合同トポロジーセミナー:2018.7.〜2023.3.
学習院大学トポロジーセミナー:2012.4.〜2018.6.)
(※※このページに MathJax を導入しました. 2014.1.7)
(※※世話人:2023.5.〜:中村伊南沙、軽尾浩晃
2015.8.〜2023.3:中村伊南沙
2013.11.〜2015.7.: 中村信裕
2012.4.〜2013.10.: 中村伊南沙)

最終更新日:2023年11月17日

日時:2023年12月11日(月)10:00-12:00
場所:学習院大学南1号館302教室
講演者:丸山 修平 氏(金沢大学)
タイトル:降下・拡張不可能な擬準同型と葉層束の特性類
アブストラクト:
群上の実数値関数fが「f(xy)とf(x)+f(y)が一様に近い」という性質を満たすとき, fを擬準同型という. 本講演では, 以下のふたつの対象を扱う: (1)群の間の全射に対し, 定義域上の擬準同型で値域上の擬準同型に降下しないもの, (2)群とその正規部分群に対し, 正規部分群上の擬準同型で全体の群上の擬準同型に拡張しないもの. これらふたつの対象について得られた結果を, とくに葉層束の特性類の観点から説明する.
本講演は川崎盛通氏(北海道大学),木村満晃氏(京都大学),松下尚弘氏(信州大学),見村万佐人氏(東北大学)との共同研究に基づく.


日時:2023年11月20日(月)10:00-12:00
場所:学習院大学南1号館302教室
講演者:佐藤 正寿 氏(東京電機大学未来科学部)
タイトル: LMO関手によるTorelli群の降中心列の次数商の評価
アブストラクト:
LMO関手とは、LMO不変量の境界つき多様体への拡張であり、曲面の間のある3次元コ ボルディズムに定まる不変量である。 ヤコビ図と呼ばれる1,3価グラフの生成するベクトル空間にこの不変量は値をもつ。
本講演では、曲面の写像類群の部分群であるTorelli群、および、その3次元的類似で あるホモロジーシリンダーについて、 この不変量から得られる情報を説明する。特に、Torelli群の降中心列の次数商に トーション元があることを示す。


日時:2023年10月16日(月)10:00-12:00
場所:学習院大学南1号館302教室
講演者:片山 拓弥 氏(明治大学研究・知財戦略機構、学習院大学理学部数学科)
タイトル:  向き付け不可能な曲面の曲線複体について
アブストラクト:
ほとんど全ての曲面の写像類群は双曲的群ではないが,Masur--Minsky理論により,曲線複体への作用を通して双曲性に近しい性質を観察できる. 講演では,向き付け不可能な曲面の曲線複体について,Bowditch--Hempel--Lickorishの不等式,双曲性 (Bestvina--Fujiwaraによる),bounded geodesic image theoremなどについて解説する. 本研究は大阪大学の久野恵理香氏との共同研究である.


日時:2023年6月29日(木)13:00-15:00
場所:学習院大学南3号館203室
講演者:佐々木 東容 氏(学習院大学理学部数学科)
タイトル:Counting subgroups and subset currents
アブストラクト:
種数gの閉双曲曲面上の閉測地線を写像類群の作用で動かしたもの全体において,長さL以下のものの個数はcL^{6g-6}(c>0)に漸近することが知られている(Mirzakhaniの結果). 閉測地線は基本群の元の共役類に対応するので,一般化して"基本群の有限生成部分群の共役類" の個数の数え上げ問題を考える.この場合,有限生成部分群の共役類に対してその"長さ"の測り方が問題だが,重み付き有限生成部分群の共役類の完備化であるサブセットカレントを利用することで,ある種自然な測り方でMirzakhaniと同様の漸近公式が得られることが分かった. 上記の結果について専門的な知識を仮定せず解説したい.


日時:2023年5月18日(木)10:00-12:00
場所:学習院大学南1号館305教室
講演者:軽尾 浩晃 氏(学習院大学理学部数学科)
タイトル:スケイン代数と正値性予想
アブストラクト:
Fock--Goncharovがタイヒミュラー空間の文脈において与えた 双対写像に対し, その量子化の存在といくつかの性質が予想されていた. この予想に対して, Allegretti--Kimは穴あき曲面に対して量子トレース写像を用いて量子化を構成し, Allegrettiは点付き円盤に対して量子団代数の観点から量子化を構成した. ここで, 量子トレース写像とは, Bonahon--Wongによるスケイン代数の量子タイヒミュラー空間への埋め込みのことである. 量子化の構成における先行研究では, 期待されうる性質のうち構造定数の正値性は当時分かっていなかった. その後, Mandel--Qinがテータ基底とブレスレット基底が一致することを示し, その帰結として正値性予想が肯定的に証明された. 正値性よりも深い理解として構造定数の明示が挙げられるが, 彼らの手法ではそのような問題を理解するのは困難である.
本講演では, (被約)状態付きスケイン代数と呼ばれる, ある条件下で量子団代数と等価な代数を用いて構造定数の正値性を理解していく. この手法のメリットは図式的計算から構造定数が明確に分かるという点であり, 特に表現論との関係性を匂わす結果が得られている. 本研究は東北大学の石橋典氏との共同研究である.


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