曲面結び目は、何回か1-ハンドル手術を施すことによって、自明な曲面結び目または擬リボン型の曲面結び目に変形できることが知られている。ここで、
擬リボン型の曲面結び目とは、3重点を持たない曲面図式を持つ曲面結び目である。曲面結び目$F$について、$F$が手術によって自明な曲面結び目(または擬リボン型の曲面結び目)になるのに必要な1-ハンドルの数の最小値を結び目解消数(または三重点解消数)という。
ここでは、ある条件を満たすトーラス被覆結び目の結び目解消数と三重点解消数の上からの評価及び下からの評価を得た。上からの評価はトーラス被覆結び目を表すトーラス上のチャートを変形することによって得ることができた。下からの評価は2面体カンドルによる彩色と、カンドルコサイクル不変量の計算、およびM. Iwakiriによる結果を応用することによって得ることができた。