学習院大学トポロジーセミナー (Topology Seminar, Gakushuin University)


過去のセミナー記録
2014年度のセミナー
(※※世話人:中村信裕)

今後のセミナー予定
日時:2015年2月18日(水)13:30-15:30
場所:学習院大学南4号館202号室
講演者:大場貴裕(東京工業大学)
講演題目:Stein fillings of homology 3-spheres and mapping class groups
アブストラクト:3次元多様体上の接触構造が Stein fillable であるとは、 その多様体を境界とするコンパクト Stein 曲面が存在し、 その Stein 曲面の複素構造が与えられた接触構造と適合するときをいう。 また、このコンパクト Stein 曲面のことを Stein filling という。 Stein filling は PALF と呼ばれるファイバー構造を許容することが、 Loi と Piergallini、Akbulut と Ozbagci らにより示された。 さらに、 この PALF はファイバーとなる曲面の写像類群により扱えることが知られている。 本講演では、「Stein fillable なホモロジー3球面のある族について、 その各々の Stein filling たちの微分同相類は一意である」ことを、 上記の Stein filling と PALF の対応に基づき、写像類群によって示す方法を紹介する。 また、Stein filling よりも広いクラスである weak filling にも同様の議論ができることも紹介する。


日時:2015年1月14日(水)13:30-15:30
場所:学習院大学南4号館202号室
講演者:村上翔太(慶應義塾大学理工学研究科)
講演題目:Deformation equivalence classes of surfaces with first Betti number one, and second Betti number zero
アブストラクト:実4次元閉多様体 $M$ が与えられたとき, $M$ とホモトピー同値である複素曲面の deformation equivalence class の数が有限であるかという問題を考えます。 この問に関しては, $M$ の一次ベッチ数 が $1$ と等しくない場合は, 既に解かれています。 一次ベッチ数が $1$ である場合に関しては未解決ですが, さらに2次ベッチ数という制約をつければ, $M$ とホモトピー同値であるような曲面の deformation equivalence class の数は有限であることを示すことができました。 さらに $M$ が一次ベッチ数が $1$ かつ2次ベッチ数が $0$ であるような楕円曲面である場合を考えます。 $M$ の基本群が非可換群ならば $M$ とホモトピー同値である複素曲面の deformation equivalence class の数は$1$または$2$であることが知られています。 最近この個数を判定するアルゴリズムを構成しました。本公演ではこの2つの結果について解説します。


日時:2014年12月17日(水)13:30-15:30
場所:学習院大学南4号館202号室
講演者:中村伊南沙(東京大学大学院数理科学研究科)
講演題目: On surface links whose link groups are abelian
アブストラクト:絡み目群が自由アーベル群である曲面絡み目について考察する。 $1$次元の絡み目の場合は状況は単純である。 $1$次元の絡み目群が自由アーベル群であるとき、そのランクは$2$以下であり、ランク$1$なら自明な結び目、ランク$2$なら Hopf link でそれは linking number で決定されることが知られている。 しかし、曲面絡み目の場合は複雑な性質が現われる。 絡み目群が自由アーベル群である曲面絡み目について、その種数と絡み目群のランクの間にある不等式が成り立つことを示す。 さらに、絡み目群がランク$4$の自由アーベル群になる$T^2$-linkが無限列をトーラス被覆絡み目で構成する。 無限個であることは、double linking number と triple linking number を計算することによって示すことができる。 ここで、double linking number と triple linking number は曲面絡み目の link homotopy 不変量であり、曲面絡み目の link bordism class を決定することが知られている。 時間があれば同じ double linking number および triple linking number を持つ $T^2$-link であっても同値 でないものが存在することを示す。これは伊藤哲也氏(京大数理研)との共同研究である。


日時:2014年11月26日(水)13:30-15:30
場所:学習院大学南4号館202号室
講演者:福本善洋(立命館大学理工学部数理科学科)
講演題目: Bounding genus と Neumann-Siebenmann 不変量
アブストラクト:Bounding genus は,松本幸夫先生によって導入された3次元ホモロジー球面のホモロジー同境不変量であり,Rohlin 不変量の核の深さを測るある種の距離を与える. 松本氏はその上界評価における改良の困難さを4次元スピン閉多様体の符号数と第2 Betti 数の間の不等式として定式化し,これが「11/8-予想」と呼ばれる. Seiberg-Witten 理論以降,古田幹雄氏によって証明された10/8-不等式は,上正明氏との共同研究を経て,N. Saveliev 氏による Seifert ホモロジー球面に対する Neumann-Siebenmann(NS) 不変量のホモロジー同境不変性の証明に繋がった. 筆者はこの10/8-不等式を応用して,bounding genus のNS不変量による下界評価を行い,Seifert ホモロジー球面の無限族に対してその値を決定した. 本講演では,これらの結果を踏まえながら,有理ホモロジー球面への一般化と,その応用について述べたい.


日時:2014年10月15日(水)13:30-15:30
場所:学習院大学南4号館203号室
講演者:佐藤光樹(東京学芸大学)
講演題目: 結び目のスピン4次元多様体における向き付け不可能種数
アブストラクト:4次元閉多様体$M$ と $M$ から4次元開球体 $B$ を除いた空間 $M\setminus B$ の境界内の結び目 $K$ に対し,$K$ が $M\setminus B$ 内に張るnull-homologousな向き付け不可能曲面の最小1次元ベッチ数は $K$ の不変量である. 特に $M$ が4次元球面の場合は$K$の向き付け不可能4次元種数として知られている. 一般の多様体 $M$ について,上述の最小1次元ベッチ数が結び目の集合上の有界関数であるかどうかは非自明な問題である. 実際,$M$ が4次元球面の場合においても,2012年にBatsonによって初めてその非有界性が示された. 今回,$M$ がスピン多様体である場合も最小1次元ベッチ数が非有界関数となることを新たに示した.本講演では,この結果について解説する.


日時:2014年7月18日(金)13:30-15:30
場所:学習院大学南4号館203号室
講演者:円山憲子(武蔵野美術大学)
講演題目: コボルディズムとCWL不変量
アブストラクト:CWL不変量 $\lambda$ はコボルディズム不変量ではないが、$\lambda$ が捉えるコボルディズムに関する現象、例えば、 $S^3$ に $\mathbb{Q}$ 同境なLens空間の $|\lambda|$ には閾値が存在し、 また、$S^3$ に $\mathbb{Z}_2$ 同境な $\mathbb{Z}_2$ ホモロジー球面の $\lambda$ についても制約条件が存在するなどがある。 近年調べている $\lambda$ のふるまいをコボルディズムの 観点から関連する話題も含めて整理したい。



日時:2014年6月18日(水)13:30-15:30
場所:学習院大学南4号館203号室
講演者:土屋政統(学習院大学理学部数学科)
講演題目: 2つの結び目で表される homology 3-sphere について
アブストラクト:$K_1$, $K_2$ をそれぞれ結び目とする. $K_1$ と $K_2$ は単純に1回 link していて, framingがそれぞれ 0, n のKirby図式で表される4次元多様体を $W_n(K_1, K_2)$ とする. このとき $M_n(K_1, K_2)$ を $W_n(K_1, K_2)$の境界とすると, $M_n(K_1, K_2)$は homology 3-sphere になる.

以下のことを示す.

1)
・$K_1$ が trefoil knot か figure eight knot とすると, $M_n(K_1, K_2)$ は$K_2$ の $n$-twisted Whitehead double に沿った -1-surgery で得られる3次元多様体と微分同相である.

・$K_2$ が right handed trefoil knot とすると, $M_4(K_1, K_2)$ は $K_1$ の cable knot に沿った -1-surgery で得られる3次元多様体と微分同相である.

また, これらによりいくつかの homotopy $\mathbb{C}P^2$ が得られることを示す.

2) $K_1$, $K_2$ をともに left handed trefoil knot とすると, $W_6(K_1, K_2)$ のKirby図式から homotopy K3 が得られることを示す.


日時:2014年5月28日(水)13:30-15:30
場所:学習院大学南4号館203号室
講演者:丹下基生(筑波大学数理物質系)
講演題目: 負定値スピンboundをもつホモロジー球面
アブストラクト:Ozsvath-Szaboのd-不変量やNeumann-Siebenmann不変量は、 3次元多様体がもつ負定値スピンboundに制限を与えることができる. この講演では、ブリースコーン球面を中心に、 minimal resolutionとして得られるboundingやそのblow-down、 またその他のboundingを構成する方法について紹介する.


日時:2014年4月30日(水)13:30-15:30
場所:学習院大学南4号館203号室
講演者:小森洋平(早稲田大学教育学部数学科)
講演題目:トーラス上のリーマン面の退化族について
アブストラクト:
複素1次元トーラス上に原点 $0$ と 原点以外・フ点 $p$ を結ぶ切れ目を入れる。こ の切れ目が入ったトーラスのコピーを $g$ 個用意し、切れ目にそって順番に張り合わせてゆくと、 位数 $g$ の巡回群の作用を持つ種数 $g$ のリーマン面 $S(p)$ が得られる。このよう にしてトーラスの点 $p$ によってパラメータ付けされたリーマン面 $S(p)$ の族が得られる。 今回の講演ではこのリーマン面の族に複素解析曲面の構造を入れて、トーラス上 の種数 $g$ のリーマン面の退化族を構成する。 さらにこの退化族の特異ファイバーや正則切断を具体的に記述する。

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