学習院大学トポロジーセミナー(Topology Seminar, Gakushuin University)(〜2018.6.)、
金沢大学・学習院大学合同トポロジーセミナー(Kanazawa-Gakushuin Topology Seminar)(2018.7.〜)



(お知らせ)7月の回からセミナーの名称を変更しました。

過去のセミナー記録
2018年度のセミナー

(※※世話人:中村伊南沙)

今後のセミナー予定
日時: 2019年2月4日(月)13:30-15:30
場所:学習院大学南4号館203号室
講演者:野崎雄太(東京大学大学院数理科学研究科) 
講演題目:ホモロジーコボルディズムを用いた 3 次元多様体の不変量  
アブストラクト:
種数 1 で境界成分 1 つの曲面をページとするオープンブック分解を許容しないレンズ空間の存在が森元により示され,その後 Baker によりそのようなレンズ空間は完全に決定された. 本講演では,ホモロジーコボルディズムの言葉で定式化される類似の問題に対して得られた結果を紹介する. 主結果の証明においては,整係数 2 次形式や Chebotarev の密度定理などの整数論が重要な役割を果たす. またホモロジー的ファイバー結び目との関係にも言及し,主結果の精密化を紹介する.


日時: 2018年12月10日(月)13:30-15:30
場所:学習院大学南4号館203号室
講演者:久野雄介(津田塾大学学芸学部数学科) 
講演題目:Goldman-Turaev Lie双代数の形式性と柏原-Vergne問題 
アブストラクト:
(A. Alekseev, N. Kawazumi, F. Naefとの共同研究) 向きづけられた曲面上のループのホモトピー類の張るベクトル空間は、 Goldman括弧積、Turaev余括弧積と呼ばれる二つの演算を持ち、Lie双代数となる。 Goldman括弧積は曲面上の平坦バンドルのモジュライ空間のPoisson構造の背後にある位相的な対象である。 Turaev余括弧積にはその様な幾何学的な解釈は現在のところ知られておらず、よりミステリアスな対象である。 Goldman-Turaev Lie双代数はある自然なフィルトレーションを備えており、その随伴次数商を考えることができる。 曲面がコンパクトで境界を持つとき、この随伴次数商は曲面の位相型から定まるある箙を用いて記述される。
この講演では、Goldman-Turaev Lie双代数の形式性の問題、つまりこのLie双代数と随伴次数商の間の (非カノニカルな)同型写像を構成する問題を取り扱う。 Alekseev-Torossianによる柏原-Vergne問題の再定式化(2012)および 我々が導入したその高種数化を用いると、この問題が解決できることを説明する。


日時: 2018年11月12日(月)13:30-15:30
場所: 学習院大学南4号館203号室
講演者:石川昌治(慶應義塾大学経済学部) 
講演題目:平面曲線特異点のミルナー束の shadowによる表示 
アブストラクト:
N.A'Campoは複素平面曲線特異点のモース化の一般化として,divideと呼ばれる曲線のはめ込みを導入した.Divideからはミルナーファイバーの「おおよその位置」を把握することができ,特に,消滅サイクルの位置関係を読み取ることができる.一方,V.G.Turaevは多面体の面に半整数を乗せることで,4次元多様体を表示する手法を与えた.この多面体を4次元多様体のshadow と呼ぶ.本講演では divide の曲線を変形し、面を加え、その多面体に半整数を適切に配置することで、divideの Lefschetz束の shadow表示が得られることを紹介する.この表示はミルナーファイバーの埋め込みの「正確な位置」を与える.本研究は東北大学の直江央寛氏との共同研究である.


日時: 2018年10月15日(月)13:30-15:30
場所:学習院大学南4号館203号室(注意:セミナーの部屋が203に変更になりました10/2)
講演者: 山崎亮介(学習院高等科) 
講演題目:2元生成クライン群のヨルゲンセン数について 
アブストラクト:
メビウス変換の群がいつ離散群(クライン群)になるかという問題は,双曲幾何学の最重要問題の1つである.2元生成の場合,離散性の必要条件としてヨルゲンセンの不等式がよく知られており,これは2元生成クライン群のヨルゲンセン数が1以上であることを主張する.これに対し,大市-佐藤は「1以上の任意の実数は,クライン群のヨルゲンセン数として実現可能か?」という自然な問題を与えた.本講演では,クライン群の性質から得られるヨルゲンセン数の評価について紹介しながら,この実現問題の肯定的な解決を与える.時間が許せば,佐藤宏樹氏らにより予想されているヨルゲンセン群(ヨルゲンセン数が1のクライン群)やショットキー群の性質と,今回得られた結果の関連性についても言及したい.なお,本講演の内容は山下靖氏(奈良女子大学)との共同研究に基づく.


日時: 2018年7月9日(月)13:30-15:30
場所:金沢大学東京事務所(東京都中央区日本橋室町1丁目9番12号 共同ビル(室町1丁目)1階102号室)
講演者:大森源城(埼玉大学大学院理工学研究科)
講演題目:向き付け不可能曲面の写像類群の表示について 
アブストラクト:
有向曲面の写像類群の有限表示は、様々な研究者たちによって構成されてきた。 Gervais は、その中のHatcher-Thurston とWajnryb による有限表示を用いる事で、生成元を全てのDehn twistとする有向曲面の写像類群の無限表示を与えた。 この表示は無限であるが、関係式の種類が少ない点が特徴的である。
一方、向き付け不可能曲面の場合は、Paris-Szepietowski とStukow によって 写像類群の有限表示が構成されている。しかし、これらの表示は有限ではあるものの、関係式として複雑なものを含む。本講演では、今回構成した向き付け不可能曲面の写像類群の無限表示について解説をする。この表示の生成系は全てのDehn twist とcrosscap pushing mapからなり、関係式も良く知られている基本的なもので構成されている。本研究は、一部、石川工業高等専門学校の小林竜馬氏との共同研究を含む。


日時: 2018年6月15日(金)13:30-15:30
場所:学習院大学南4号館 204号室
講演者: 高尾和人(京都大学 学際融合教育研究推進センター)
講演題目:結び目の橋位置と橋分解について
アブストラクト:
結び目理論において「橋」のアイデアは基本的であるが、その定式化は一通りではない。 そのうち、空間内での結び目の位置として定義されるものを橋位置と呼び、空間内の球面による結び目の分解として定義されるものを橋分解と呼ぶ。 それらは互いに等価な概念として解釈されがちだが、本講演では、橋位置と橋分解の同値類集合の間に本質的な違いが現れることを指摘する。 本講演は張娟姫氏と小林毅氏と小沢誠氏との共同研究に基づくものである。


日時: 2018年5月18日(金)13:30-15:30
場所:学習院大学南4号館204号室
講演者: 川島夢人(東京大学大学院数理科学研究科)
講演題目: A new relationship between the dilatation of pseudo-Anosov braids and fixed point theory
アブストラクト:
A relation between the dilatation of pseudo-Anosov braids and fixed point theory was studied by Ivanov. In this talk I reveal a new relationship between the above two subjects by showing a formula for the dilatation of pseudo-Anosov braids by means of the representations of braid groups due to B. Jiang and H. Zheng.