金沢大学・学習院大学合同トポロジーセミナー (Kanazawa-Gakushuin Topology Seminar)
(※※世話人:中村伊南沙)
過去のセミナー記録
2019年度
日時: 2020年1月13日(月)10:00-12:00
場所: 学習院大学南4号館206号室
講演者:野澤啓(立命館大学)
講演題目:円周上の曲面束の横断的にアファインな葉層構造について
アブストラクト:
本発表はGilbert Hector氏(リヨン第一大学)との共同研究に基づく. アトロイダルな3次元多様体上のトートな葉層構造の分類については, Kronheimer-Mrowkaによって接平面場のホモトピー類の有限性が示され, Gabaiによって粗いアイソトピー類の有限性が示されている. しかし, 具体的な分類は, 典型的な双曲多様体である擬アノソフなモノドロミーを持つ円周上の曲面束の場合にも知られていない. ファイバー曲面の種数が2以上の場合にはトートな葉層構造のアイソトピー類の良い分類は難しいことがCooper-Long-ReidおよびCalegariによって構成された例から分かる. 一方で, コンパクト葉を持たない横断的にアファインな葉層構造については, いくつかの条件の下で, トーラス束の場合のGhys-Sergiescuの定理と似た良い形でアイソトピー類の分類が行えることが中山により示されている. 本講演では, 中山によって得られたものと似た横断的にアファインな葉層構造のアイソトピー類の分類がより弱い条件の下で成り立つことについて説明する. 具体的には, モノドロミーが擬アノソフであり, 1次ベッチ数が1であるような円周上の曲面束では, 接平面場がファイバーの接平面場にホモトピックになるようなトートな横断的アファイン葉層が分類でき, それらは全てファイバーを葉とする葉層構造の摂動によって得られることを示す.
日時: 2019年12月16日(月)10:00-12:00
場所: 学習院大学南4号館206号室
講演者:辻俊輔(京大数理研)
講演題目:A topological construction of an element of the completed Goldman Lie algebra corresponding a homology cylinder
アブストラクト:
ホモロジーシリンダーから完備基本群群環への同型が導出される。この同型は、完備
Goldman Lie 代数のある元におけるLie作用のexponentialにより記述することができる。また、このような完備Goldman Lie 代数の元でaugmentation idealに入っているものはユニークに一つ定まる。この元の構成方法は2通りある。一つ目の方法は代数的な方法で、ホモロジーシリンダーから導出される同型に対応することが証明しやすい。しかし、代数的な構成だとフィルトレーションの評価が難しいなどの問題がある。二つ目の構成方法はあるスケイン代数を用いた構成方法である。この方法での構成ではフィルトレーションの評価が高精度に可能である。本講演では、このスケイン代数を用いた構成を紹介する。この構成を用いて、久野氏とマシュヨ氏の公式がさらに深いところまで成り立つことが分かった。またさらに深い計算に必要な補正項を得る方法も紹介する。
日時: 2019年12月2日(月)10:30-12:00
場所: 学習院大学南4号館205号室
講演者:Sang-hyun Kim (KIAS)
講演題目:Small $C^1$-actions of semidirect product
日時: 2019年11月18日(月)9:00-11:00
場所: 学習院大学南4号館206号室
講演者:鈴木正明(明治大学総合数理学部)
講演題目:Epimorphisms between knot groups
アブストラクト:
結び目群は結び目の基本的な不変量であるが、
それを使って結び目を判定することが容易とは限らない。
一方、結び目群は結び目の性質の多くの情報を持っているので、
それらの関係として結び目群間の全射凖同型を考察することは
意味があると考える。
本講演では、結び目群間の全射凖同型に関して、
これまで分かっていることを講演者の結果を中心に述べる。
日時: 2019年10月21日(月)10:00-12:00
場所: 学習院大学南4号館206号室
講演者:滝岡英雄(京都大学)
講演題目:結び目の$\Gamma$多項式とそのケーブル化不変量について
アブストラクト:
$\Gamma$多項式は, 結び目の2変数多項式不変量であるHOMFLYPT多
項式とKauffman多項式の共通の零番係数多項式である. 一般に, 互いに素な整数p(>0), qに対して, 与えられた結び目不変量から(p,q)ケーブル化不変量が得られる. 本講演
では, $\Gamma$多項式の(p,q)ケーブル化不変量に着目し, 特にp=1,2,3の場合について, これまでに得られた結果を紹介する.
日時: 2019年8月29日(木)10:00-12:00
場所: 学習院大学南4号館206号室
講演者:John Parker(Durham University)
講演題目:Cusp regions associated to screw-parabolic maps
アブストラクト:
If a discrete subgroup of ${\rm PSL}(2,{\mathbb C})$ contains a parabolic map then, via Shimizu's lemma, there is a precisely invariant horoball based at the parabolic fixed point. If this fixed point is infinity then the height of the horoball equals the Euclidean translation length of the parabolic map. In hyperbolic space of higher dimensions there are parabolic maps that are not translations, called screw-parabolic maps. If the rotational part of such a map has infinite order then there is no precisely invariant horoball. However, there are sub-horospherical regions that are precisely invariant. We consider discrete subgroups of four dimensional hyperbolic space with a screw-parabolic map with irrational rotational part. Waterman gave an example where the height is linear in the distance to the axis. Erlandsson and Zakeri, in a beautiful paper, gave a way to construct such a region where the height is proportional to the square root of the distance to the axis. However, their region depends heavily on the continued fraction expansion of the rotation angle and is hard to describe. Subsequently I gave a slightly worse region that is described by a simple function. By doing so I was able to improve on the asymptotics of Erlandsson and Zakeri. In this talk I will survey the problem as an example of how simple number theory influences hyperbolic geometry.
日時: 2019年7月5日(金)16:00-18:00
場所: 学習院大学南4号館206号室
講演者:Ramon Barral Lijo(立命館大学)
講演題目:A space of Riemannian manifolds
アブストラクト:
We will present a smooth version of the Gromov space of pointed proper metric spaces. The theory surrounding this space is related to the realization problem in foliation theory. Using a result about graph colorings, we obtain an answer to the aforementioned problem in the setting of laminations. We will also explore some applications to the theory of random Riemannian manifolds.
日時: 2019年6月14日(金)16:00-18:00
場所:学習院大学南4号館206号室
講演者:吉田建一(埼玉大学大学院理工学研究科)
講演題目:ある二重周期絡み目における双曲錐構造
アブストラクト:
3次元双曲錐多様体とは、閉測地線の周りを一周したときの角度(錐角)が2πとは異なるような特異性を3次元双曲多様体に許したものである。錐角が0の特異集合の近傍はカスプとみなすことができる。錐角θに対する双曲錐構造の変形について、局所剛性は0≦θ≦2πで示されているが、大域剛性は0≦θ≦πでのみ示されている。小島による大域剛性の証明は、錐角を小さくして0まで変形できることに基づく。
本講演では、$T^{2} \times \mathbb{R}$ 内のある絡み目における双曲錐構造を具体的に構成することによって、錐角を小さくした時に特異集合が交差する例を与える。
日時: 2019年5月10日(金)16:00-18:00
場所:学習院大学南4号館206号室
講演者:大鹿健一(学習院大学理学部数学科)
講演題目:Thurstonのbounded image theorem
アブストラクト:
Thurstonが有名なHaken多様体の一意化定理の中で述べた "bounded image theorem" は現在に至るまで証明が知られていなかった.この講演では現代のKlein群論の知識を使えばこの定理が証明できることを示す.Toulouse大学のCyril Lecuireとの共同研究.