佐賀創発数理セミナー (Saga Souhatsu Mathematical Seminar)
トポロジーとの関連を探しつつ、さまざまな分野の枠を超えたセミナーを行いたいと思います。
興味のある方は世話人までご連絡ください。
世話人(2025年度):中村伊南沙(佐賀大学)、柳田幸輝(佐賀大学)、戸次鵬人(佐賀大学)
連絡先:中村伊南沙 (inasaのあとにアットマークとcc.saga-u.ac.jpを付けてください)
佐賀創発数理セミナー(2023年度、2024年度)
金沢創発数理セミナー(2021年度、2022年度)
作成日:2025年4月21日
最終更新日:2025年10月28日
日時:2026年1月13日(火)15:30-17:30
場所:佐賀大学理工学部6号館(Zoomによる遠隔とのハイブリッド)
講演者:小島 道 氏(九州大学)
講演題目:
アブストラクト:
日時:2025年12月11日(木)
場所:佐賀大学理工学部6号館(Zoomによる遠隔とのハイブリッド)
講演者:志摩 亜希子 氏(東海大学)
講演題目:
アブストラクト:
日時:2025年12月4日(木)15:30-17:30
場所:佐賀大学理工学部6号館205講義室(Zoomによる遠隔とのハイブリッド)
講演者:新井 克典 氏(大阪大学)
講演題目:空間曲面とgroupoid rackについて
アブストラクト:
空間曲面とは、3次元球面内に埋め込まれたコンパクト曲面のことである。特に、絡み目の Seifert 曲面は空間曲面の例である。有向な空間曲面の各成分が空でない境界をもち、閉円板でないとき、その空間曲面は空間3価グラフの図式によって表すことができ、その図式に対する Reidemeister 型変形も知られている。
groupoid rack は、このような空間曲面の図式の彩色を定める代数的構造であり、これを用いることで空間曲面の不変量を構成することができる。本講演では、groupoid rack の彩色に関する普遍性について述べ、さらに groupoid rack から得られる空間曲面の不変量を用いて、任意の絡み目に対して、ある条件を満たすような異なる Seifert 曲面の組の無限族を構成する。
日時:2025年11月10日(月)15:30-17:30
場所:佐賀大学理工学部6号館310講義室(Zoomによる遠隔とのハイブリッド)
講演者:矢口 義朗 氏(前橋工科大学)
講演題目:組み紐の交差行列と第1ジョンソン写像の関係について
アブストラクト:
組み紐の「交差行列」は,2002年に Burillo 達によって組み紐ダイアグラムから定義された行列である。具体的には紐のペアの交差数の符号つき和を並べてできる行列のことであり,組み紐不変量にもなる。
一方,1980 年頃から Jhonson や Morita により,ある種の曲面の写像類群を定義域とする,番号づけられた写像列が開発された。この写像列は,番号が大きくなるほどその値域が元の写像類群の良い近似を与えるもので,k 番目の写像は「第 k ジョンソン写像」と呼ばれる。ジョンソン写像はその後,拡張・整備が続けられ,2006 年には Kawazumi により,自由群の自己同型群を定義域とする代数的なものへの拡張・解釈が与えられた。これにより,組み紐群からの「ジョンソン写像」を扱うことができるようになった。
この講演では,組み紐の「交差行列」の定義と先行研究について解説する。また,Kawazumi が構成した「ジョンソン写像」の定義を解説し,組み紐の交差行列と第1ジョンソン写像の像が等価であること,およびその像をダイアグラムから直接計算する方法を報告する。本研究は久野雄介氏(津田塾大学)との共同研究である。
日時:2025年10月30日(木)15:30-17:30
場所:佐賀大学理工学部6号館205講義室(Zoomによる遠隔とのハイブリッド)
講演者:Catherine Oikonomides 氏(早稲田大学)
講演題目:Solving the Novikov conjecture by using cyclic cohomology
and applications to the Thompson groups
アブストラクト:
In this talk, we will describe a method due to Connes and Moscovici
which aims at solving the Novikov conjecture by using cyclic cohomology.
It consists in short of associating a cyclic cocycle to any group cohomology class of a group G,
pairing this cyclic cocycle with a suitable K-theory class in order to obtain Novikov's higher
signature, and then checking the homotopy invariance of the higher signature by extending
as much as possible the definition domain of the cyclic cocycle.
In the 1990s, Connes and Moscovici solved the Novikov conjecture for hyperbolic groups by using
this method. We will review their results and explain how we applied this method to solve the Novikov
conjecture for the Thompson groups T and F.
This is a joint work with Vlad Sergiescu that was published in 2013.
日時:2025年10月29日(水)15:30-17:30
場所:佐賀大学理工学部6号館310講義室(Zoomによる遠隔とのハイブリッド)
講演者:児玉 悠弥 氏(鹿児島大学)
講演題目:Finiteness property of the $n$-adic Lodha-Moore group and its applications
アブストラクト:
A (discrete) group is said to be amenable if it admits a finitely additive, left-invariant probability measure. Typical examples of amenable groups include finite groups and abelian groups, while non-abelian free groups are standard examples of non-amenable groups. Since subgroups of an amenable group are also amenable, any group that contains a non-abelian free group is non-amenable. However, the converse does not hold in general.
In this talk, we show that there exist infinitely many groups that are non-amenable, torsion-free, do not contain any non-abelian free subgroup, and satisfy a certain finiteness property. We also show that these groups and Thompson’s group $F$ share similar properties. Part of this talk is based on joint work with Akihiro Takano (The University of Osaka).
日時:2025年10月28日(火)15:30-17:30
場所:佐賀大学理工学部6号館310講義室(Zoomによる遠隔とのハイブリッド)
Speaker:Han Liu (Shanghai Institute for Mathematics and Interdisciplinary Sciences)
Title:Some studies on the amenability and soficity of Thompson’s group F
Abstract:
Thompson’s group F, introduced by Richard Thompson in 1965, is a highly representative and significant example in geometric group theory. In this talk, we discuss some ongoing projects on the amenability and soficity of F. We first provide an estimate for $\text{diam}_{F}^{\mathcal{F}}(R, \varepsilon)$, which quantifies the amenability of F. Then, by introducing the concept of an order-preserving sofic action, we establish a connection between amenability and soficity of F, showing that F is amenable if and only if its natural action on the set of dyadic rational numbers in the closed unit interval is an order-preserving sofic action. Furthermore, we explore the soficity of F by analyzing two special types of elements in F, namely friendly elements and cornered elements. We prove that any finite subset of F can be conjugate to some (sufficiently) friendly elements simultaneously. However, the corresponding property is no longer valid when (sufficiently) friendly elements are replaced by cornered elements.
This is joint work with Professor Yi-Jun Yao (Fudan University).
日時:2025年10月21日(火)15:30-17:30
場所:佐賀大学理工学部6号館310講義室(Zoomによる遠隔とのハイブリッド)
講演者:坂本 龍太郎 氏(筑波大学数理物質系数学域)
講演題目:重さ1の保型形式のHecke体について
アブストラクト:
保型形式は、$SL_2(Z)$(あるいはその部分群)に対して特定の対称性をもつ、上半平面上の正則関数である。保型形式は数論において極めて重要な対象であり、Wiles によるFermatの最終定理の証明においても中心的な役割を果たした。保型形式に関する理論は体系的に整備されてきたが、なお多くの未解決問題が存在する。
本講演では、保型形式の数論的側面について概観し、その後、保型形式のHecke体に関する最近の研究成果(東京理科大学・吉川祥氏との共同研究)を紹介する。
日時:2025年10月14日(火)15:30-17:30
場所:佐賀大学理工学部6号館310講義室(Zoomによる遠隔とのハイブリッド)
講演者:永野 中行 氏(金沢大学理工研究域)
講演題目:周期写像を介して鏡映群の不変式に付随するK3曲面の系列について
アブストラクト:
楕円曲線上の積分(楕円積分) は周期写像を定め、周期写像の逆対応は楕円モジュラー形式を定めます。これは整数論などに応用され、多方面における数学の発展に繋がっています。
K3 曲面は楕円曲線の自然な高次元版であり、K3 曲面の変形はその周期写像で統制されます。発表者はK3 曲面の周期写像の逆対応として多変数保型形式を構成する研究を続けていますが、その途中で、階数の大きい例外型複素鏡映群(Shepherd-Todd の分類でNo.31,33,34) の不変式が変形パラメータとして自然に出現する、特別なK3 曲面の族の系列を見つけました。この結果は、よく知られている実鏡映群・特異点の変形・有理曲面の研究とは動機や手法が全く異なるものですが、代数曲面を定義する方程式は非常に似ています。
今回の発表では、楕円曲線の古典理論から始め、その高次元版としてK3 曲面を導入し、その周期写像の扱い方を概観します。そして主結果として複素鏡映群の不変式に付随するK3 曲面族の系列を紹介します。状況が許せば、K3 曲面を使うメリットなどについても紹介します。
日時:2025年10月9日(木)15:30-17:30
場所:佐賀大学理工学部6号館205講義室(Zoomによる遠隔とのハイブリッド)
講演者:高橋 夏野 氏(大阪大学大学院情報科学研究科 / 日本学術振興会 特別研究員 PD)
講演題目:境界付き4次元多様体のトライセクション種数について
アブストラクト:
トライセクションとは、4 次元多様体を特定の方法で 3 つのハンドル体に分割する構造であり、3 次元多様体の Heegaard 分解に対する
4 次元的類似として解釈される。3 次元多様体に対して Heegaard 種数が定義されるのと同様に、
4 次元多様体に対してもトライセクション種数と呼ばれる素朴な整数値不変量が定義される。
トライセクション種数に基づく 4 次元多様体の分類は、トライセクション理論における中心的テーマの一つである。
本講演では、境界付き 4 次元多様体に対するトライセクション種数の評価および決定に関する結果について述べる。
日時:2025年9月30日(火)15:30-17:30
場所:佐賀大学理工学部6号館310講義室(Zoomによる遠隔とのハイブリッド)
講演者:岩倉 康樹 氏(九州大学)
講演題目:Topology of boundary special generic maps
アブストラクト:
Boundary special generic mapとは, boundary definite fold pointのみを特異点として持つ境界付き多様体上の写像である。この写像は, Shibataにより2000年に境界付き3次元多様体から平面への写像として導入された。本発表では, Shibataの定義をより高次元へと一般化し, それに伴って現れる性質を紹介する。
さらに応用として, 閉多様体上の写像における非特異拡張性との関連についても紹介する。
日時:2025年8月22日(金)16:30-17:30
場所:佐賀大学理工学部6号館310講義室(Zoomによる遠隔とのハイブリッド)
講演者:櫻井 みぎ和 氏(芝浦工業大学)
講演題目:Distances by clasp pass moves and arrow polynomials of virtual knots
アブストラクト:
For classical knots, clasp pass moves are closely related to Vassiliev invariants of degree 3. Tsukamoto showed that the values of the Vassiliev invariant of degree 3 induced from the Jones polynomial for two knots differ by 0 or ±36, if they are related by a single clasp pass move.
For virtual knots, the arrow polynomial is a generalization of the Jones polynomial and induces a Vassiliev invariant of degree 3.
In this talk, we show that the values of the Vassiliev invariant of degree 3 induced from the arrow polynomial of two virtual knots differ by 0 or ±2304, if they are related by a single clasp pass move. We also obtain a lower bound of the distance between virtual knots by clasp pass moves.
日時:2025年8月7日(木)16:00-17:30
場所:佐賀大学理工学部6号館205講義室(Zoomによる遠隔とのハイブリッド)
講演者:隈部 哲 氏(九州大学マス・フォア・インダストリ研究所)
講演題目:有限体上の超幾何関数と2パラメータ$K3$曲面族のゼータ関数
アブストラクト:
超幾何関数はパラメータをもつ複素変数の級数として与えられる.一方で有限体上の超幾何関数と呼ばれる超幾何関数の有限体における類似が有限体上の指標和によって与えられ, 類似公式の証明や多変数化などが現在も盛んに研究されている. もう一つの研究の方向として,有限体上定義された代数多様体族の有理点の個数との結びつきについてのものがある.
本講演では有限体上で具体的に与えられる2つの2パラメータ$K3$曲面族に対し, 有理点の個数およびそれから定まる(合同)ゼータ関数について講演者によって得られた結果を紹介する.特にAppell関数と呼ばれる二変数超幾何関数とそれらに関する様々な公式を用いることで上記$K3$曲面族のゼータ関数をLegendre楕円曲線族のゼータ関数を用いて記述する.
日時:2025年7月31日(木)15:30-17:30
場所:佐賀大学理工学部6号館310講義室(Zoomによる遠隔とのハイブリッド)
講演者:柳田 幸輝(佐賀大学)
講演題目:トーラス結び目のブランチフィールド形式について
アブストラクト:
ブランチフィールド形式および捩れブランチフィールド形式とは、結び目の外部補空間が定める半双線形形式である。
これら二つの形式は、代数的結び目解消数や結び目のスライス性など様々な幾何的情報を含んでいる。
これらの形式における具体的な計算についての先行研究では、任意の結び目で実行できるウィルティンガー表示に基づいた手法が提案された。
しかしながらこの計算手法は、種数の大きい結び目には適用が困難で、具体的な計算例も少ない。
本講演では、恒等子を用いた(捩れ)ブランチフィールド形式の計算手法を紹介し、トーラス結び目におけるいくつかの計算結果について述べる。
日時:2025年7月30日(水)15:30-17:30
場所:佐賀大学理工学部6号館205講義室(Zoomによる遠隔とのハイブリッド)
講演者:戸次 鵬人(佐賀大学)
講演題目: L関数の特殊値,周期,Eisenstein類
アブストラクト:
L関数とは,代数体,代数多様体,保型形式,Galois表現などの様々な数論的対象から定まる(あるいは定まると予想される)解析関数で,その性質はそれらの数論的対象の多くの深い性質を反映していることが知られている(あるいは予想されている).特に,L関数の特殊値とはL関数の整数点での値のことで,非常に興味深い研究対象となっている.
本講演では,L関数の特殊値と,「周期」と呼ばれる特別な数のクラスとの関係や,それらを研究するための手法のひとつを与えるEisenstein類などについて,講演者の研究にも触れながら紹介したい.
日時:2025年7月23日(水)15:30-17:30
場所:佐賀大学理工学部6号館205講義室(Zoomによる遠隔とのハイブリッド)
Speaker:Yuanxin Guan (School of Mathematical Sciences, Fudan University)
Title:Equivariant geometric bordism of $(\mathbb{Z}_2)^k$-manifolds fixing isolated points
Abstract:
In the 1960s, Conner and Floyd began the study of equivariant geometric bordism theory of smooth closed manifolds with periodic diffeomorphisms and analyzed the smooth involutions and smooth actions of $(\mathbb{Z}_2)^2$ with all fixed points isolated. Over the past twenty years, the $(\mathbb{Z}_2)^k$-equivariant geometric unoriented bordism theory mainly concerns the classification of $(\mathbb{Z}_2)^k$-manifolds with isolated fixed points up to equivariant bordism and the choice of a preferred representative in each equivariant bordism class.
In this talk, we first recall the history of $(\mathbb{Z}_2)^k$-equivariant geometric unoriented bordism. Then we introduce the recent progress for the classification of $(\mathbb{Z}_2)^k$-manifolds fixing isolated points. The talk is based on joint works with Bo Chen, Hao Li, Zhi Lü, Qifan Shen and Qiangbo Tan.
日時:2025年7月22日(火)15:30-17:30
場所:佐賀大学理工学部6号館310講義室(Zoomによる遠隔とのハイブリッド)
講演者:浅野 喜敬 氏(津山高専)
講演題目:種数2の相対トライセクションを許容する平面的3次元接触多様体のStein充填
アブストラクト:
3次元接触多様体のStein充填は,3次元接触トポロジー・4次元シンプレクティックトポロジーいずれの観点からも重要視される研究対象である.
一方,4次元多様体の表示として,Gay-Kirbyによる(相対)トライセクションがある.これは4次元多様体を3つの4次元1ハンドル体に分解するものであり,特に低種数のトライセクションを持つ4次元多様体の分類は基本的な問題とされている.本講演では平面的3次元接触多様体のStein充填のうち,種数が2以下の相対トライセクションを許容するものに対し,その微分同相類の分類に関する結果を紹介する.本研究は高橋夏野氏(大阪大学)との共同研究である.
日時:2025年7月15日(火)15:30-17:30 (**この講演は後日に延期になりました。)
場所:佐賀大学理工学部6号館310講義室(Zoomによる遠隔とのハイブリッド)
講演者:戸次 鵬人(佐賀大学)
講演題目:L関数の特殊値,周期,Eisenstein類
アブストラクト:
L関数とは,代数体,代数多様体,保型形式,Galois表現などの様々な数論的対象から定まる(あるいは定まると予想される)解析関数で,その性質はそれらの数論的対象の多くの深い性質を反映していることが知られている(あるいは予想されている).特に,L関数の特殊値とはL関数の整数点での値のことで,非常に興味深い研究対象となっている.
本講演では,L関数の特殊値と,「周期」と呼ばれる特別な数のクラスとの関係や,それらを研究するための手法のひとつを与えるEisenstein類などについて,講演者の研究にも触れながら紹介したい.
日時:2025年7月1日(火)15:30-17:30
場所:佐賀大学理工学部6号館205講義室(Zoomによる遠隔とのハイブリッド)
講演者:吉田 建一 氏(広島大学SKCM^2)
講演題目:周期タングルと絡み目の対称性
アブストラクト:
(一重、二重、三重の)周期タングルとは, ソリッドトーラス $S^{1} \times D^{2}$, 厚み付きトーラス $T^{2} \times I$, 3-トーラス $T^{3}$ 内の絡み目の普遍被覆として得られる $\mathbb{R}^{3}$ の1次元部分多様体である. 周期タングルは, テキスタイルや高分子などの構造を記述するために用いることができる. 周期的な対称性をもつ多くの応用例では, 周期はあらかじめ与えられているわけではないので, 大きな周期をとってもよい. このことは, 絡み目の有限被覆をとっても同じ周期タングルを表すことに対応する. さらに, 周期タングルの同値関係を定義するためには絡み目のイソトピーを考える必要がある. このことをふまえて, 絡み目の有限被覆とイソトピーの整合性に関する結果を示す.
本講演は, 小鳥居祐香氏(広島大学), Sonia Mahmoudi氏(東北大学), Elisabetta Matsumoto氏(ジョージア工科大学)との共同研究に基づく.
日時:2025年6月17日(火)15:30-17:30
場所:佐賀大学理工学部6号館205講義室(Zoomによる遠隔とのハイブリッド)
講演者:中村 伊南沙(佐賀大学理工学部)
講演題目:格子図式とそれに付随するドット付き図式の変形について
アブストラクト:
Partial matchingとは、1価または0価頂点および辺からなる有限グラフである。
Partial matchingを格子上の表示で表すことを考えると、partial matchingsの間の変形が格子表示の変形で表される。
特に、ある条件を満たすときには、格子図式という図式の変形で表すことができる。
ここでは、格子図式の変形に基づいて、
ドット付き図式とその変形という概念を導入する。
平面上のグラフであるドット付き図式とその変形、およびそれらから定義できる既約図式とその性質について述べる。
日時:2025年6月9日(月)15:30-17:30
場所:佐賀大学理工学部6号館301講義室(Zoomによる遠隔とのハイブリッド)
講演者:清水 達郎 氏(慶応義塾大学)
講演題目:直積$S^1\times N$のReidemeister torsionのひとつの計算法
アブストラクト:
$N$をorientableな閉多様体とする.$\rho$を$\pi(S^1)$の非自明な表現と$\pi(N)$の適当な表現の積とするとReidemeister torsion $Tor(S^1\times N;\rho)$は$Tor(M)^{\chi(N)}$で与えられる.
ここで$\chi(N)$は$N$のオイラー数.これの間接的な証明を与える.
用いるのはChern-Simons摂動論から得られるdefectという不変量$d$である.
$d$は$\tau$と同じく多様体と表現の組に対する不変量であり,表現がアーベルの時にはReidemeister torsion $Tor$と本質的に一致する.そこで$d$の直積に関するふるまいを調べることで表題の計算を行う.この計算方法が面白いのは、計算結果$Tor(M)^{\chi(N)}$中にある$N$のEuler数$\chi(N)$が,ベクトル場の零点の数として明示的に表れる点である.
日時:2025年5月20日(火)16:30-17:30
場所:佐賀大学理工学部6号館205講義室(Zoomによる遠隔とのハイブリッド)
講演者:松本 幸夫 氏(学習院大学理学部数学科)
講演題目:「スパインのない4次元多様体」の今と昔
アブストラクト:
スパインのない4次元多様体(spineless 4-mainofold)はちょうど50年前に
構成されたが [1],それは2次元トーラス$T^2$とホモトピー型の等しい
(コンパクトで境界のある)4次元多様体であった。それから約50年後に,
2次元球面$S^2$とホモトピー型の等しい
spineless 4-manifoldがA. S. Levine とT. Lidmanにより構成された [2].
講演では、それらの4次元多様体の構成と性質について紹介する.
参考文献:
[1] Y. Matsumoto, A 4-manifold which admits no spine,
Bull. Amer. Math. Soc. 81, (1975), 467--470.
[2] A. S. Levine and T. Lidman, Simply connected, spineless 4-manifolds,
Forum Math. Sigma (2019), 7, e14,1--11.
佐賀大学